掌-たなごころ-

手で触れる対象を感じようとする時
指先が力んでない事が大事だ。
指先が力むと、
握った鉛筆の中心軸を感じられなくなる。
相手を無いものとして扱ってしまう。

それは
手で扱う道具の扱いを上達する上で
非情な妨げになる。

鉛筆でコップのデッサンを描く時
例えば、コップのフチの線を引く瞬間には
あのコップのフチの滑らかなカーブの
「肉体的な実感」が伴っていなければ
ならないし、
翻って紙に押し当てた鉛筆の先の感覚も
自分の中に感じていなければならない。

しかし
手、全体や指先を力ませて鉛筆を
握っているとそれらを「感じること」を
殺してしまう。
メチャクチャな鈍感になってしまう。

道具を手で扱う際には
握るではなくて触れる感覚を持つこと。
そのために手の平の真ん中、「掌」が
大切だろう。

忘れがちな掌の感覚を
自覚する上で大事なのは
掌に通じる手首と
掌を中心とした手の平の端点
小指が大切だろう。

この触れる力まない、は
心という道具にも当てはまるのでは
ないだろうか?